はじめに:急増する「リースバック」とは?
最近よく耳にする「リースバック」。これは自宅を不動産会社などに売却したあとも、そのまま賃貸として住み続けられる仕組みです。
「住宅ローンの返済に困った人の救済策」や「老後資金を得る方法」として、メディアでも取り上げられることが増えていますが、実はこのリースバック、知らずに契約すると取り返しのつかないリスクが潜んでいるのです。
リースバックのメリット(に見えるもの)
確かに、リースバックには表向きのメリットがあります:
- 即現金化できる
- 引っ越し不要、住み続けられる
- 固定資産税などの負担がなくなる
しかし、これらの“表の顔”だけを信じて契約すると、のちのち生活が破綻するリスクがあることを知っておくべきです。

リースバックの“闇”とは?よくある落とし穴
1. 家賃が相場より高くなる
売却後に「賃料」が発生しますが、驚くほど高額になることも。それまでの住宅ローン返済額よりも毎月の出費が増え、「生活再建どころか家計悪化」という例も珍しくありません。

2. 再購入できない現実
「将来的に買い戻せます」と営業されても、実際は価格が2倍以上に設定されていることも。事実上買い戻し不可能です。

3. 賃貸期間が短い&更新不可
契約書を見ると、2年契約・更新不可という例も多く、2年後に退去を迫られる可能性が大。高齢者の場合は特に深刻です。

4. 売却価格が市場相場より大幅に安い
早く売れることを強調されるものの、相場よりも2〜3割安く買いたたかれるケースも多発しています。

実際にあったトラブル事例
ある高齢女性は、老後の資金確保のために自宅をリースバック。「この家に住み続けられるなら…」と安心して契約しましたが、2年後に契約更新不可を通知され、退去せざるを得なくなり、次の住まいも確保できず生活保護に転落。
また、別のケースでは、家賃支払いが1ヶ月遅れたことで即時退去を通告された例も。

なぜリースバックはトラブルになりやすいのか?
最大の理由は、契約内容の不透明さと営業トークとのギャップです。
- 不動産業者側は「売却」+「家賃収入」で2重に利益を得られる
- 契約者は金銭的に困窮していることが多く、冷静な判断が難しい
- 法整備や監視体制がまだ不十分
これらの背景により、情報弱者がターゲットにされやすい現実があります。
リースバックを検討する前に知っておくべきこと
- 複数の業者に相見積もりを取る
- 弁護士やFPに事前相談する
- 「将来どうするか」の計画を立ててから契約する
- 「再購入可」などの口約束は必ず書面で残す
「売却しても住める」は、魅力的な言葉ですが、長期的に見たときの生活の安定性こそが本当に大切です。

まとめ:安易に飛びつかないで!リースバックは“最後の手段”
リースバックは一見すると「魔法のような解決策」に思えるかもしれませんが、実際にはリスクだらけの制度です。
特に、高齢者やローン返済に困っている人にとっては、生活をより悪化させる結果になりかねません。
もしあなたやご家族がリースバックを検討しているなら、契約する前に必ず第三者に相談することを強くおすすめします。
次回予告:住宅ローン破綻が増えている!?社会情勢3つの理由
次回は、リースバックの背景にも深く関わる「住宅ローン破綻の増加」について掘り下げます。
- なぜ今、住宅ローンの返済が苦しくなっているのか?
- コロナ後の経済と金利上昇の影響
- 生活コスト上昇が家庭を直撃している現実
これら社会情勢と家計の関係性を、具体的なデータと事例を交えて解説します。
「うちは大丈夫」と思っている人にも知ってほしい、大切な内容です。

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